水面に浮きながら滑るように滑走する水生昆虫のふしぎ

 

 水面に浮きながら滑るように滑走する昆虫のふしぎ~水の表面張力と疎水性~」というテーマで、小学生対象の「科学体験教室」を越前市の加子さとし絵本館で開きました。「実験を通した不思議体験が子どもたちに科学の魅力を伝える科学絵本を読むきっかけになってほしい」というのが教室を設けた理由です。今回、水生昆虫としてアメンボとミズスマシを取り上げ、これらが水中に沈むことなく、水面を滑走できるメカニズムについて動画と写真を見ながら考えてもいました。アメンボの足が6本と答えられたのは少数でした。アメンボは足に水をはじく細かい毛がびっしりと生えています。細かい毛に付着した足の先から分泌した油によって水をはじくとともに表面張力が働いて浮きやすくなっています。実際には、アメンボの足はマクロ構造と微細な規則正しいナノ構造(幅400500nm)を有し、疎水性を増し浮力を増大させていると言われます。ここにも事業のテーマであるナノの世界が垣間見えました。 次いでアメンボが利用している水面浮上・滑走の原理を用いたおもちゃづくりと実験を行いました。アメンボの6本の足うち2本の前足と2本の長足を模擬したアメンボの模型を長さ1mのアルミ線を用いて作り、水の表面張力で水面に浮かせ、息を吹きかけて走らせるテストを行いました。次に、1円玉を10個水面に浮かせた後、食器洗い洗剤を数滴水面に落とすと1円玉が次々に沈んでいく様子を観察してもらいました。さらに、金属性のコップに水を張り、ビー玉を水中に入れると水面が表面張力によって限界まで曲がる様子を観察してもらいました。1円玉が次々と沈んでいく現象に歓声があがりました。